LAMBRETTA (2001)(日本語)

 

時に、多くの人々に聴かれてもいないバンドの大きな噂が音楽業界で流れる事がある。時に彼等は成功するが、2ndアルバムが出る頃には誰も気に留めていない-それはよくある誇大宣伝という奴だ。

LAMBRETTAは全く逆のバンドだ。イギリス人がNMEを開く度に次のTHE BEATLESの話を読まなくてはならない時、LAMBRETTAは準備に余念がなかった。然るべき場所に出入りする代わりに、然るべき人々と知り合い、彼等の音楽に焦点を合わせた新しいトレンドにこだわった。デビュー・アルバムは大ヒットにはならなかった-にも関わらず彼等の次作に対する関心は非常に大きいものだ。

急速に事態は進んだ。9月初旬にアルバムが発売される予定だという事は殆ど知られていなかったが。

「秋の新作のリストがある大手の新聞に載った時、俺達のアルバムについては何も書かれてなかったんだ。」とギタリストのAnders Eliassonは語り、満足そうな表情をする。「でも今は語られているんだよ!」

LAMBRETTAは、デビュー・シングル “Blow My Fuses” が発売された段階で既に長い間活動をして来たバンドだ。そのシングルはラジオで大ヒットし、1999年の夏の間は殆どスウェーデンでのナンバー1ヒットになっていた。ビデオクリップはその年のベスト・ビデオに選ばれた。それ故LAMBRETTAは人々から一発屋だと思われて来た。彼等のアルバムを聴いたその人々はいい仕事をしている、と気付いた事だろう。

ここ迄でも十分凄いが、これから始まる事に比べたら何もないも同然だ。

バンドの今後を警告した人々ですら、新作からの1stシングル”Bimbo”にぶっ飛んだ。グルーヴィーなHM風リフ、どっしりしたメロディーと姿勢のあるストレートな曲だがしっかり現実的だ。他の2、3曲と共にこの曲は音楽界の「ドリーム・チーム」であるPer Aldeheim、Alexander KronlundとMax Martinによって書かれたものだ。

それでは、LAMBRETTAは魔法をかけられる事を待っているバンドの1つに過ぎないのか?「彼等に曲を頼もうとは思ってなかったんだよ。」とバンドは言う。「事実は、彼等がLAMBRETTAにターゲットを絞った曲を書き、俺達が彼等のオファーに気分を害するだろうか?という事をレコード会社に問い合わせたんだよ。彼らは、俺達が本当に自分達の手で曲作りをしていた事を知っていたんだ。」

LAMBRETTAは提供された曲を聴いて気に入り、メンバー達のエゴよりも曲の良さの方がずっと重要であるという事に同意した。

「俺は1stアルバムの中の80%の曲を書いたけど、今は3曲位かな。」とAndersは言う。しかし彼はそれについて問題があるとは思っておらず、それがバンドにとって最良の事だと認識している。そしてLAMBRETTAは本当に「バンド」なのだ。彼等のライヴを観た事がある人達は、彼等が本当にステージで元気一杯に演奏するという事を保証してくれるだろう。彼等は、ただライヴを演って冷たいバターの様な態度を取る事に対するスウェーデン的謝罪が嫌いだ-彼等は観客に衝撃を与えるのだ。

LAMBRETTAのメンバーの年の差について語らずしてバンドについて討論する人は少ない。

Linda Sundbladがバンドに加入した時彼女はたったの15歳だった-メンバーの何人かの年の半分だ。誰もが彼女はバンドに合わないと思っていたが、それどころか彼女はバンドとスウェーデンの音楽シーン全体にビタミン注射の様な刺激を与えた。若くて、賢くて、才能がある彼女はRobynのロック版となった。多くの人達が彼女は長くバンドに留まるべきではないと考え、彼女をソロ・アーティストにしようとする様様な努力がなされたが、Lindaはそれを断った。

「みんなが私にソロになれ、バンドを抜けるべきだと悟らせようとすればする程、私はバンドに残るべきで、彼等が間違っているという事を証明しようとしたの。」と彼女は言う。「だって私達が一緒だとどれだけ強力かを知っているんだもの-バンドの1人1人がどれだけ大事かって事もね。売り込むべきアルバムを作らず沢山のギグを演った事がそれを証明しているわ。ロックしてステージを楽しむの-そしてみんな気付いたのよ。」

Lindaは現在20歳になり「女性スウェーデン人ロック・スター」の大役を担いながら成長を続けている。”Bimbo”のビデオクリップか、1年前のスウェーデンのグラミー賞のオープニングでの演奏を観て欲しい-彼等は本当にスウェーデンの音楽業界に喝を入れたのだ。

LAMBRETTAがもっと早くヘヴィーなギター・リフのあるポップスを演っていたら、彼等は大きなフックのある古典的ロック・バンド以上になっていただろう。にも関わらず真の繊細な楽曲がそこにはあるのだ。彼等は新しい世紀に突入するロックの40年間を今も勝ち抜いている。ある時期「アリーナ・ロック」という言葉は悪い噂となっていた。まるでそのものがジャンルであったかの様に。事実は、アリーナはそこにそぐわないバンドにとっては本当に悪夢でしかないという事なのだが、同時にその気にさせて素晴らしい空気を創るものでもある-ステージに居るのが本当に然るべきバンドなら、の話だ。

LAMBRETTAの2ndアルバムを聴いた時、宙に上げられた手や沢山のライターの炎と飛び跳ねる観客を想像するのは簡単だ。これらの全ては、自分達の作品が本当に強力だと知っているタイトで正確なバンドだからこそある。LAMBRETTAはツアーで素晴らしい振舞いをするバンドなのだ。

(LAMBRETTAのオフィシャルサイトより)

 

バンドは2001年11月現在アルバムのプロモーションとスウェーデン国内のライヴ・ツアーを実施中です。ヘヴィーなGのポップ・チューンに、キュートな女性Voという組み合わせはハード・ポップ、メロディアスHR系ファンにも魅力的だと思います。

新譜”LAMBRETTA”はユニヴァーサルさんより2002年2月6日に日本盤が予定されていましたが、残念ながらキャンセルされました。

 

 

(Discography)

LAMBRETTA (UNIVERSAL MUSIC, 2002)
BREAKFAST (UNIVERSAL MUSIC, 1999)